新NISAと日本企業の躍進 – ひふみアニュアルミーティング2023で見る10年後のビジョン
ひふみアニュアルミーティングは、毎年12月3日「ひふみ(一二三)」の日に開催される投資信託「ひふみ」シリーズの年間運用報告会です。
ファンドごとに1年間の運用成績について、今後の見通しについて受益者に報告する場で、運用メンバーが様々な想いを持って報告する場になっています。
2023年年次報告会のメインテーマは、
10年先を今、考える
2023年はChatGPTなど生成AIが登場し、その進化は私たちの想像を超えるものでした。そして今後はさらに進化したAGI(汎用人口知能)が出来てくるといよいよ人間が出来ることを深く考えていく必要があります。
短期的な投資判断はAIに敵わなくなる。ならばひふみ目論見俱楽部という新たな運用に関する考え方をスタートし、常に10年という長期的な展望で投資判断を実践する事で中長期も短期も利益が出るという考えです。
昨年に続き、私は東京の報告開場にて拝聴したので、リアル会場で感じた熱量と報告内容のまとめをお届けします。
【関連記事】
◆【ひふみシリーズ購入者必見!】ひふみアニュアルミーティング2022で感じた未来に繋がる4つのポイント
スケジュール
ひふみアニュアルミーティング2023のスケジュールは以下の通りでした。
- ひふみ投信、ひふみプラス 報告(藤野 英人さん)
- ひふみワールド、ひふみワールド+ 運用報告(湯浅 光裕さん)
- ひふみらいと、まるごとひふみ(15/50/100) 運用報告(福室 光生さん、橋本 裕一さん)
- ひふみの新戦略 ~これからの10年~ スピードワゴン:井戸田 潤さん、藤野 英人さん、ほか運用メンバー
- 大企業から紐解く日本企業の可能性:ひふみのプライム戦略
味の素株式会社 代表執行役社長 藤江 太郎さん
株式会社バリュークリエイト パートナー 佐藤 明さん
スピードワゴン 井戸田 潤さん - Q&A
5時間超に渡る長丁場でしたが、濃いに内容かつ、運用メンバー、ゲストの熱いトークに水揉まれ、そして井戸田さんの高いMC力で時間はあっという間に過ぎたと感じました。
順に内容を解説交えて要約していきます。
ひふみ投信、ひふみプラス 年間運用報告
- 大型株や中型成長株の投資比率が不十分でTOPIXに劣後した1年
- 長期的展望と理念持ち熱く語るカッコいい経営陣の居る大型株への投資比率を高める
- 今後日経平均は10倍になる可能性がありひふみの基準価格も当然増加させたい
- 10月から発注含め全責任を藤野さんが負いリーダーシップを持って投資した
ひふみ投信・ひふみプラス年間運用結果
初めに、年間のひふみ投信運用結果は以下のとおりでした。
ひふみ投信 | 19.89% |
ひふみプラス | 20.10% |
TOPIX(配当込み) | 29.80% |
以下のチャートを見て頂いてもわかる通り、年中盤から後半にかけ、TOPIXに対して劣後しだしていることがわかります。
TOPIXに劣後した要因として藤野さんは以下の点を挙げていました。
- 3月にウォーレン・バフェット氏来日、商社株購入で大型株シフト市場へトレンド変化
- 成長株よりも大型株と割安株の上がりが大きかった
- ひふみは大型株へのトレンド変化に乗り遅れた
- 中小型株に近かったひふみのポートフォリオが付いていけなかった
- 8月9月は大型株比率を上げたが上げ方が甘かった
- 三菱重工、三井物産、三菱UFJーFG好調銘柄に特化したわけではなかった
東証がPBR1倍割れ企業(株価純資産倍率)のお尻を叩き、バフェットさんが日本の商社株に目を付けたり、円安で海外マネーが日本に集まったりと優良な大企業にとっては追い風の1年でした。
長期的展望と理念持ち熱く語るカッコいい経営陣の居る大型株への投資比率を高める
大型株の変化は後述する【大企業から紐解く日本企業の可能性:ひふみのプライム戦略】にて詳細を書いていますが、大型株の変化は今後の投資判断にかなり影響すると藤野さんは話していました。
TOPIX | ひふみ投信 マザーファンド | |
大型株 | 86.5% | 70.4% |
中小型株 | 10.1% | 17.5% |
超小型株 | - | 1.8% |
海外株 | 3.4% | 10.2% |
20%大型株が少なかったため運用成績に違いが出たが大型株でもグロース株の成長が大きくてひふみの得意とする中小型の成長株が伸びない3年間でした。
今後の戦略としてはTOPIXと同じ戦略をするわけではなくひふみ目論見俱楽部をベースに運用していくそうです。
今後日経平均は10倍になる可能性がありひふみの基準価格も当然増加させたい
2024年1月6日に藤野さんが新刊を出すそうです。釣りっぽいタイトルですが「日経平均10万円時代が来る!」です。
日経平均は2023年現在、デフレ環境下の10年間で3倍になっています。でもこれからは、インフレ環境下なので日経平均は3倍以上になると藤野さんは予測しています。
当然、ひふみの基準価格も3倍以上でないと長期投資した面白さが無いと思うので5倍とか6倍を目指していきたいと言及していました。
現在の基準価格が約63,400円、6倍となると380,400円!ワクワクが止まりません。
本のタイトルは釣りっぽいですが内容は極めてまともで、世の中の変化について藤野さんの考えの詳細をまとめた内容だそうです。
10月から発注含め全責任を藤野さんが負いリーダーシップを持って投資した
そこで、9月末から10月にかけてポートフォリオを大胆に変更してきました。
完全に藤野さんが発注も含めリーダーシップを取り全責任を取り集中して投資をしたそうです。
今までの2年間は藤野さんがトレーディングする事はめったになかったそうですが藤野さん自身が発注し何にも言い訳できない状況に追い込みプラスにすると決意して実行したそうです。
その売買規模は4000億円程になったそうです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
◆ひふみアカデミー11月要約|4000億円規模の売買でポートフォリオの再構築
今までの大企業の経営者との対談での話題と言えば、
- 健康
- ゴルフ
- 勲章
私は今でも経営者はそんなイメージに思っていました。もう一つ付け加えるならば異性の話でしょうか。
と言った地位や名誉や欲にまみれた経営者が多かったそうです。
デフレ社会は資産を持っている人が苦しい社会で大企業にとっては苦しい社会だった。なので大企業の社長は社長がゴールだったのだがアメリカの場合は社長になり業績が上がればもうかりダメなら首と言うシビアな世界との差がありました。
それが最近の大型株の優良企業の経営者は変わってきたそうです。
代表的な企業として挙げていたのが、三越伊勢丹ホールディングス(3099)、細谷社長の佇まい(たたずまい)や雰囲気がカッコよく、話がすごいそうです。
百貨店とは言われたくない。消費のあり方を変えたい。お客様の欲しいものを取りに行くという考えを持っているそうです。
以前、アマプラで見たのですが、三越や松坂屋が、外商サービスに力を入れているという番組を見ました。
【関連動画】
◆【デパート】外商って何だ?店の運命を決める?旅行や不動産の手配も?日本のお金持ちの実態は?益若つばさと考える|アベプラ
特に富裕層をターゲットにしたお客様が必要な物を聞き取りし届けてくれるサービスの伸びがすごいそうです。お客様のリクエストをざっくりと聞いたうえで外商員がセレクトして提案するという価値を提供するサービスです。
百貨店の生き残りとして考え抜いての戦略、企業で培ってきたノウハウと時流をつかむ経営手腕はやはり優秀な経営時でなければ実現しないのでしょう。
ひふみワールド、ひふみワールド+ 年間運用報告
- 年半ばから決算を見ながらポートフォリオを強化
- この一年間で銘柄数を40近く絞りより集中的な投資を行った
- フェラーリなどのロイヤルカスタマーが居る企業に投資
- ナショナルセキュリティは今後も重要
- ヘルスケア肥満向けの痩せ薬の開発(トリガー)により衰退する企業と躍進する企業が出て来る
ひふみワールド、ひふみワールド+年間運用結果
初めに、年間のひふみ投信運用結果は以下のとおりでした。
ひふみワールド | 21.09% |
ひふみワールド+ | 21.10% |
年半ばから決算を見ながらポートフォリオを強化し、より集中的な投資を行った
年前半は金利の変化や様々な事件の影響を受け、慎重な運用が続けていたが、年半ばから決算を見ながらエンジンをかけてもう一段階アクセル踏んでポートフォリオを構築してきたそうです。
高橋FMは、今年度は色々な不透明感がある中横ばいを予測していました。そしてM7(マグニフィセント・セブン)と呼ばれるアメリカの主要テクノロジー企業7社を除いた企業については概ね予想通りでしたが、M7の上昇の予測は外してしまったそうです。
来年は景気が下向くリスクもある中で上にも下にも動きづらい予測を立てているそうです。
この一年間で銘柄数を40近く絞りより集中的な投資を行った
以下は、私が1年間のひふみワールドの主な指標をまとめた表です。
ひふみワールド | 23年10月 | 23年9月 | 23年8月 | 23年7月 | 23年6月 | 23年5月 | 23年4月 | 23年3月 | 23年2月 | 23年1月 | 22年12月 | 22年11月 | 22年10月 | 22年9月 | 22年8月 | 22年7月 | 22年6月 | 22年5月 | 22年4月 | 22年3月 | 22年2月 | 22年1月 |
騰落率 | -4.76% | -3.78% | 0.16% | -0.09% | 7.85% | 7.14% | 0.02% | -0.47% | 3.34% | 5.12% | -6.13% | -2.60% | 10.08% | -6.01% | 1.01% | 4.09% | -3.24% | -0.29% | -5.08% | 6.14% | 0.34% | -10.99% |
現金比率 | 6.69% | 3.82% | 6.40% | 7.38% | 2.33% | 2.11% | 3.99% | 6.28% | 3.46% | 4.92% | 4.77% | 3.03% | 2.75% | 3.11% | 3.79% | 13.52% | 13.92% | 11.97% | 13.08% | 11.04% | 3.40% | 11.41% |
組入れ国比率 1位 | アメリカ 66.27% | アメリカ 68.93% | アメリカ 66.42% | アメリカ 64.04% | アメリカ 67.82% | アメリカ 69.56% | アメリカ 67.42% | アメリカ 65.63% | アメリカ 67.12% | アメリカ 66.68% | アメリカ 67.66% | アメリカ 68.35% | アメリカ 73.27% | アメリカ 73.11% | アメリカ 70.36% | アメリカ 61.57% | アメリカ 60.77% | アメリカ 62.66% | アメリカ 62.83% | アメリカ 64.63% | アメリカ 69.38% | アメリカ 61.70% |
組入れ国比率 2位 | イタリア 4.73% | ドイツ 4.65% | ドイツ 5.04% | ドイツ 5.31% | ドイツ 5.72% | ドイツ 5.33% | ドイツ 5.43% | 中国 5.04% | 中国 4.85% | ドイツ 5.19% | フランス 4.57% | フランス 4.87% | フランス 3.19% | 中国 3.18% | 中国 3.37% | ドイツ 3.25% | ドイツ 3.42% | ドイツ 3.64% | ドイツ 3.55% | ドイツ 3.53% | ドイツ 4.52% | ドイツ 3.25% |
組入れ国比率 3位 | ドイツ 4.62% | イタリア 4.22% | イタリア 4.24% | イタリア 4.02% | イタリア 3.95% | 中国 3.73% | 中国 3.23% | ドイツ 4.75% | ドイツ 4.79% | 中国 4.18% | ドイツ 4.40% | ドイツ 4.32% | ドイツ 3.16% | フランス 2.61% | フランス 3.20% | フランス 2.95% | フランス 3.11% | フランス 3.19% | イギリス 2.30% | 中国 2.26% | 中国 2.98% | 中国 2.93% |
組入れ国比率 4位 | フランス 2.76% | イギリス 2.64% | スイス 2.33% | 中国 2.97% | 中国 3.53% | イタリア 2.85% | スイス 3.06% | スイス 3.68% | スイス 3.86% | スイス 3.78% | スイス 2.74% | スイス 2.73% | 中国 2.76% | ドイツ 2.53% | ドイツ 3.17% | 中国 2.52% | イギリス 2.43% | イギリス 2.55% | フランス 2.19% | イギリス 2.11% | イギリス 2.24% | フランス 2.32% |
組入れ国比率 5位 | イギリス 2.63% | スイス 2.24% | イギリス 2.31% | イギリス 2.27% | 台湾 2.82% | 台湾 2.81% | イタリア 2.81% | イタリア 2.49% | イタリア 2.46% | イタリア 2.06% | 中国 2.60% | 中国 2.53% | スイス 2.41% | スイス 2.35% | スイス 2.32% | イギリス 2.46% | スイス 2.42% | 中国 1.95% | オランダ 1.93% | オランダ 2.05% | フランス 2.16% | オランダ 2.00% |
銘柄数 | 151 | 164 | 154 | 138 | 137 | 155 | 152 | 142 | 144 | 152 | 190 | 198 | 207 | 207 | 211 | 202 | 197 | 194 | 194 | 191 | 201 | 197 |
基準価額 | 16,840円 | 17,681円 | 18,376円 | 18,346円 | 18,363円 | 17,026円 | 15,892円 | 15,889円 | 15,964円 | 15,448円 | 14,695円 | 15,655円 | 16,073円 | 14,601円 | 15,534円 | 15,379円 | 14,775円 | 15,269円 | 15,314円 | 16,134円 | 15,201円 | 15,149円 |
2022年の銘柄数は190~200銘柄を推移していましたが2023年には140~160銘柄まで減少しています。ひふみ投信もひふみワールドも分散度合いを薄め、集中投資に舵を切り出しました。
フェラーリなどのロイヤルカスタマーが居る企業に投資
今回の報告会に限らず、ひふみワールドは以前より値上げがきちんと出来ている会社に投資すると一貫して言い続けていました。
フェラーリしかり、値上げに対する価値を理解し許容でき、それでも離れないロイヤルカスタマーがいるという付加価値がある企業に投資していると湯浅さんは話をしていました。
テクノロジーとヘルスケア分野への注目度は高い
ひふみワールドの現状ポートフォリオ世界観は以下の4つに分類されます。
- ブランド
- ラグジュアリー、顧客ロイヤリティ、価格決定力
- テクノロジー
- DX、セキュリティ、半導体
- 資本財
- 自動化、制御、反グローバル化、エネルギー効率
- ヘルスケア
- 生活習慣病、医療技術、医療サービス
ブランドに関しては全項で湯浅さんが語ったフェラーリ。高橋さんはヘルスケアとテクノロジーについての注目度は高いと言っていました。
ヘルスケア分野では、ノボノルディスクという会社に注目しているそうです。
デンマークの製薬で、肥満症治療薬「ウゴービ」が日本でも2024年から発売されるそうです。
【関連記事】
◆ノボノルディスク、肥満症薬「ウゴービ」を日本発売 来年2月
この治療薬が開発されたことで、
肥満が減る→肥満が原因の病気が根絶→ヘルスケアコストが減る→その治療薬を作っていた製薬会社が衰退する。
といった連想ゲーム的な経済の連鎖が起こるのではないかと高橋さんは考えているそうです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という投資の格言通り、一つのトリガー的事象から連想される未来予想ではないでしょうか。
続いて、ナショナルセキュリティは半グローバリゼーション化(地域分断)が進む中、セキュリティに対して、特にネットワーク系の企業へ投資行動を進めているそうです。
ひふみらいと、まるごとひふみ(15/50/100) 年間運用報告
- ひふみグローバル債券マザーファンドが設定来-12.73%
- 金利の上昇により債権価格が下落したが、将来的に金利が下がると予想されており、キャピタルゲインによる回復が見込まれる
- デュレーションは約7.1年で、平均利回りは4.19%
- 来年以降、金利が下がるタイミングでのパフォーマンス回復に期待
ひふみらいと、まるごとひふみ(15/50/100) 年間運用結果
初めに、年間のひふみ債券ファンド運用結果は以下のとおりでした。
ひふみ投信 マザーファンド | 21.20% | ひふみワールド ファンド | 22.98% | ひふみグローバル 債券マザーファンド | -3.07% |
ひふみらいと | -1.30% |
まるごとひふみ 15 | -0.26% |
まるごとひふみ 50 | 7.82% |
まるごとひふみ100 | 20.30% |
ひふみグローバル債券マザーファンドが設定来
ひふみグローバル債券マザーファンドは2021年3月30日に設定されました。設定時の基準価格は10,000円スタートです。2023年9月26日時点の基準価格は8,727円となり、設定来-12.73%という落ち込みでした。
この落ち込みについては特に悲観するものではないと私は思っています。なぜならこの2年間は米国のインフレ抑制による急激な利上げの影響で金利が上昇しました。
金利が上昇する時は債券価格が落ち込むので、ある意味債券ファンドが冬の状況なのは折り込み済みなわけです。
そんな状況の時こそコツコツと買い続けて利上げが落ち着き下がり始めると、どうなるでしょうか。
金利の上昇により債権価格が下落したが、将来的に金利が下がると予想されており、キャピタルゲインによる回復が見込まれる
金利の低下と共に今度は債券価格が上昇するので、おのずと債券ファンドの基準価格は上がっていきます。
そうすると、キャピタルゲイン(売買差益)が狙えますから今後の債券ファンドには期待が持てるフェーズになると予測されています。
デュレーションは約7.1年で、平均利回りは4.19%
デュレーションとは、2つほど考え方があるそうです。
- 元本をどれくらいで回収できるか
- 金利が上下したときに債券価格がどれくらい上下するかの目安になる指標
デュレーションの意味や計算方式の詳細的な難しいことは置いておいて、
ひふグローバル債券マザーファンドのデュレーションが約7.1年ということはファンドが投資している債券が金利の変動に比較的敏感であることを意味します。金利が1%下がると、債券の価格は理論上約7%上昇する可能性があります。
仮に単純計算で現在の米国金利が5%で、2.5%まで下がったとしたら債券価格は17.5%上昇するという事です。
2024年春頃からは米国の政策金利引き下げが見込まれるため、インフレ率が下がり金利も落ち着くのではないかと福室さんも話しをしていましたので、もう少し待ちましょう。
ひふみの新戦略 ~これからの10年~
各ファンドの年間運用報告が終了後、ひふみの新戦略について、藤野さんと新株式戦略部部長妹尾(せのお)さん、MCの井戸田潤さんが登壇しお話されました。
家事との両立新スタイル株式戦略部妹尾(せのお)部長
妹尾部長は2021年1月にレオス・キャピタルワークスに入社し家庭と仕事の両立に努めていて今までセミナーや報告会にはほとんど参加していなかったそうです。
今回のひふみアニュアルミーティングで受益者の前にお披露目でした。
【詳細プロフィール】
◆運用メンバーインタビュー 妹尾 昌直さん
妹尾さんの特徴は、日本株、海外株、中小型株、債券など何でもわかるオールラウンダーなところだそうです。
そんな妹尾さんの能力を発揮できる場として運用全体を俯瞰して戦略を立てる株式戦略部の部長というポジションは彼にとってもレオスにとっても最適なポジションなのではないでしょうか。
実力があるからこそ転職2年目で部長職
そんな妹尾さんの特徴としては以下の点が挙げられます。
- 現職以前より運用会社数社長年在籍しており多岐にわたる知識と経験がある
- 会社の評価基準として企業の代表者の話し方や態度に注目している
- 会社員としての働き方にて時間の使い方を重視し、効率的なワークライフバランスを実現している
- 子育てと仕事の気持ちの切り替えには苦労しているが、家庭と仕事をうまく調整している
- 家庭でのパートナーとのパワーバランスはヒ・ミ・ツ
今後は、家事との両立しつつ部長職としてバリバリ仕事をするという次世代スタイルで活躍してほしいです。
日本の視点と世界の視点
日本と世界の両方の視点から相互見ると、文化や経済の違いが比較出来て中立的な投資判断ができるのではないでしょうか。
妹尾部長は外国株からキャリアをスタートし、3年間、ニューヨークで働いていた経験があるそうです。
ニューヨークでの経験では、フィジカルやコミュニケーションスタイルの違いに驚いたそうで、現地のコミュニティに参加してコミュニケーションを図ったそうです。
ニューヨークのビジネスマンはスタイリッシュでかつフィジカルに圧倒されたそうで妹尾さんもジム通ってみたそうですが直ぐに辞めてしまったそうです。
圧倒される気持ち、なんかわかる気がします。井戸田潤のお友達の綾部さんはそんなニューヨークで長年在住、すごいですね。
日本と世界の違いについて妹尾部長は以下の点を挙げていました。
- アメリカではIR担当者が自社に誇りを持ち、CEOのように話す文化がある
- 日本では、担当者が不在の場合、同様の情報提供が難しいことがある
- アメリカのIR担当者が自社株を保有していることが、彼らの誇りと責任感に影響している可能性がある
日本でもストックオプションについての権利行使価格の上限を2024年度から年3600万円に引き上げる検討に入る、経営陣の業績連動型報酬に切り替える大企業が増えてきているなどの変化がみられています。
当たり前ですが、当事者意識を持って働くことが非常に大事なのですね。
【関連記事】
◆ストックオプションの税優遇、年3600万円に上限引き上げ-日経新聞記事
ひふみ魅力化計画について、日経平均10万円になる未来
冒頭、ひふみ投信報告会でも藤野さんが話をしていましたがここでも日経平均が10万円の時代になる可能性について言及していました。
日経平均が10万円になる可能性がある要因として以下の点を挙げられていました。
- インフレの影響: 物価が上昇し給与の上昇が伴わなければ生活が苦しくなるため、給与の増加が重要
- 大企業の変化:より動的で未来志向の企業が現れている
- 次なる新興企業の台頭
デフレからインフレへ変化していく丁度転換期の現在、インフレに適応した企業や個人は「素敵な未来」になり、適応できなかった企業や個人は「過酷な未来」の二極化になると予想しています。
エネルギー資源に対しての将来的な投資アイデアにも言及していました。
- AIの進化: AI技術の進化により、特に短期的な投資においてAIが優位に立つ可能性があるが、長期的な未来の予想や創造は人間が優位。
- エネルギー需要の増加とAIの進展は、原発や核融合技術などの新しいエネルギー源への投資機会を生み出す。
AIや、今後AGI(汎用人口知能)が発展すると、電気を大量に使います。今後は小型原子力や核融合などの次世代エネルギー資源への注目も集まっています。
大企業から紐解く日本企業の可能性:ひふみのプライム戦略【ゲスト味の素株式会社藤江社長】
ひふみが是非紹介したい大企業として今回ゲスト登壇したのは、味の素株式会社、代表執行役社長最高経営責任者藤江太郎さんでした。
味の素株式会社はひふみ投信の組み入れ上位銘柄に入る投資企業です。
コーンレンジャーが管理する北海道コーンクリーム
冒頭、味の素商品であるクノールカップスープの北海道コーンクリームが紹介されました。誰もが一度は飲んだことがあるコーンクリームですが、「北海道」と表記された商品はスーパースイートコーンを使用した特別なコーンクリームだそうです。
北海道の契約農家で栽培しており、メロン並みの糖度があるそうです。
24時間以内加工すると甘みがそのまま残るそうで、管理はコーンレンジャーという味の素グループで4数名しかいないの精鋭の社員が行っており品質を保っています。
試飲したMCの井戸田潤さん、「あま~~い!」と感想を述べていました。さすが伝統芸!
スーパーコーンのコーンクリーム、気になったので実際に試飲してみました。
藤江社長を間近で見ると、雰囲気や佇まいもカッコ良かったのですが何より自社のプレゼンの淀みないスピーチが素晴らしかったです。ビジョンが明確で思わず聞き入ってしまいました。
聴いていて面白かった話として、藤野さんが会社訪問した時に、副社長がアミノ酸のサイエンスついて熱弁されていたのですが、藤江社長がアミノ酸の話は専門的すぎるからと話を遮り藤江社長が話を始めたそうです。
そしたら、藤江社長自身が涙目でアミノサイエンス®について語り出したそうです。
社長、副社長を筆頭にそんなアミノ酸好きが味の素には数千名集まっているのですから当然仕事に賭ける情熱が高くなるのは当たり前です。
私が、自社について熱く語れるかを考えた時に甚だ疑問に感じてしまいます。
アミノサイエンス®とASVで未来を切り開く味の素
藤江社長のプレゼンより味の素は以下の2つのキーワードが重要と感じました。
- ASV経営
- アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する
ASV経営
味の素の創業の志は
食を通じた社会への貢献 うま味を通じて日本人の栄養を改善したい
から始まりました。そこから約100年を経て藤江さんが社長に就任したわけですが、創業の精神は受け継がれ少しずつ変化し事業分野も増え現在は、
ASV経営(Ajinomoto Group Creating Shared Value)
事業を通じた社会課題の解決による社会貢献と経済価値の創出
の経営に舵を切っています。
通常の大企業は、中期経営計画(3か年)や四半期決算、毎月の売り上げに追われるわゆるPL脳になり短期的な利益を追求しています。
味の素は、目指すべき姿を10年後に据えて、その期間とことん事業を通じた社会価値と経済価値を共創し続けることで短期中期的な収益も上がるという構想で事業を進めることにしたそうです。
味の素の10年先を考えることで中期的な利益も上がる構想からインスパイアされ、ひふみ目論見俱楽部を発足した一因になっているそうです。
アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する
アミノサイエンス®という言葉は「アミノ酸」×「サイエンス」を掛けた味の素の造語です。
こういう造語って意外と重要!ひふみ投信も、由来は「火風水土」の四大元素×志しの「心」なのです。
創業以来、グルタミン酸ナトリウムというアミノ酸について徹底的にこだわってきたプロセスがあり、そこから得られてきた技術やサービスを科学的アプローチで生み出してきたからこその造語です。
【関連リンク】中期ASV経営 2030ロードマップ
Well-being(ウェルビーイング)は心身と社会的な健康を意味する概念です。
アミノサイエンス®を武器に様々な事業セグメントを通じて社会に貢献することで人々のWell-being(ウェルビーイング)に貢献したいという想いが伝わってきました。
バリュークリエイトパートナー佐藤 明さんから見た味の素の特徴とは
レオス・キャピタルワークスの社外取締役でもあり、味の素の経営コンサルタントも担っている株式会社バリュークリエイト パートナー佐藤 明さんから見た味の素の特徴は以下の2点を挙げていました。
- 世界各国で発揮される現場力
- 科学的な文化
佐藤明さんについては以下のひふみ目論見俱楽部対談レビュー記事でも取り上げさせて頂きました。
【関連記事】
◆ひふみ目論見倶楽部詳報|未来を創る2つのアクティブファンド戦略と羅針盤
世界各国で発揮される現場力
味の素の売り上げに占める海外シェアは60%程度だそうです。社員や経営陣が現地の生活に溶け込み現地の方々と交流を図ることで味についても変えているそうです。
藤江社長もフィリピン駐在時にご家庭に訪問し、収入の低い家庭は薪をくべて調理している状況を見ていたりその中で味の素はどのように使われているかを見て現場のお客様と共に考えて製品を作っていったそうです。
社長の行動力恐るべし!
科学的な文化
もう一つは、味の素のどの社員と話していてもすごく細かいそうです。味覚に対する分析をちゃんと数値化したり美味しさを設計するそうです。
この現場力と科学的な文化が合わさっている会社は凄く珍しいと佐藤さんは語っていました。
現場力×科学の相乗効果は最強じゃないですか?
Q&A
Q&Aセッションでは、オンラインと会場からの質問を運用メンバーが回答してくれました。
いくつか気になった質問をピックアップし要約してみました。
- アクティブファンドの信託報酬とパフォーマンスについてどう考えていますか?
-
藤野さん:信託報酬は過去の良好なパフォーマンスに基づく。最近3年間の成績は不甲斐ないが、長期的な視点では良好な成績を目指す。
ごつこさんこの手の質問は毎回ありますよね。信託報酬、インデックスに勝てないなど。私は日本の一部上場企業でも良くない企業(道義的意味での)へはなるべく投資したくない。でも個別株は自身がないから運用理念に共感したひふみに投資しています。人それぞれ投資の目的や手法は違いますので自身の心に従って投資してみましょう!
- アクティブファンドとして、大株主の役割についてどのように考えていますか?
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藤野さん:アクティビストとしての行動には踏み込んでいないが、株主としての影響力はあると考えている。アスクルと言う会社がヤフーと創業経営者間での問題があった時に両社の意見を聞き、結果的にヤフーについた。
ごつこさんアクティビストと言えば私たち世代では物言う株主として知られた村上ファンドの村上世彰さんのイメージがあります。最近ではオリンパスやセブン&アイ・ホールディングスに仕掛けた米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタルなどが有名です。
貨幣資料館に行ってきました
東京へ来た目的はひふみアニュアルミーティング2023でしたが、ついでに日本の中央銀行である日本銀行が運営している貨幣資料館に行ってきました。
東京駅(大手町)から一駅の三越前で下車すると、近くには旧日本銀行のビルや三菱UFJ銀行などが立ち並ぶ金融の町に貨幣資料館はありました。
入場料は無料で土日も開館しています。土曜日の訪問だったので若い学生団体さんや子連れファミリーやカップルもちらほらいて、結構な賑わいでした。皆さんお金が好きなのですね。
あいにく館内は撮影禁止だったので写真でお見せする事はできませんので是非立ち寄ってみてください。お金の変遷コーナーでは、日本最古の貨幣である富本銭や和同開珎や江戸時代の大判小判が見れました。
過去の人々が、生きる為により便利に且つ、外圧や様々な事象に対してお金を変化させていくことで現在の管理通貨制度にたどり着いたかがとても解る資料が陳列されていました。
その中でも、第一次世界大戦後の金融恐慌で貨幣の価値が下がり、銀行へ取り付け騒ぎが起こっていたことや、江戸時代から節季払い(せっきばらい)という売り掛け支払い方法があったことが印象的でした。
なぜなら2023年米国SVB銀行の取り付け騒ぎでの破綻や、新宿歌舞伎町の売掛金問題など、過去も現在も人間のやっていることって変わらないんだなあとしみじみ思いました。
まとめ
- ひふみ目論見俱楽部本格始動に賭ける藤野さんの熱意が感じられた
- ワールドチームの世界のびっくりを足で調査は今後も期待大
- 債券ファンドは金利低下のフェーズに入りキャピタルゲインが狙える方向に
- アミノ酸好きが集まる味の素の株が欲しくなった
- スピードワゴン井戸田さんの「僕もひふみで投資始めた仲間がいて嬉しい」発言に思わずグッと来た
- 白水さん、新卒採用理由に対し長期投資なので長く続く会社にするためという言葉に、その通り!と思った。
一年を通して投資信託「ひふみ」シリーズに対する私見
私は、約2年間ひふみ推しで活動してきました。2023年を振り替えてみての私見を少し綴りたいと思います。
- 運用報告会は本当に誠実に素直に受益者に向いている
- 運用面では指数に劣後しても信じて託しているから心配していない
- 藤野さん復帰しひふみ目論見俱楽部スタートしたことで今後が更に楽しみに
- まるごとひふみ金利上昇で債券市場が不調を分かっている状況でも毎回丁寧に説明
- ひふみワールドチームは八尾さんが抜けたけれども湯浅さん高橋さんコンビとベイラドさんが加わり常に進化している感じが良い
毎月のひふみアカデミーでは常に受益者に対して誠実な対応をされているなあと一年通して参加した率直な感想です。
だって、普通に「個別株やってください」「インデックスもやればいいじゃない」「楽天証券でポイント目当てでひふみプラス購入しています」と言ったりするんですよ。
そして成績が悪い時でもしっかりと受益者に向き合って痛い質問に対しても答えてくれる。
ひふみの世界戦は私たちが思っている以上に高みにあるのかもしれません。
運用成績について、2022年はひふみ投信ファンドマネージャーを佐々木さんに据えて運用してきましたが成績が振るわず2023年1月に藤野さんに交代しました。
しかし、運用成績は振るわず劣後していた状況。そんな中、運用チームも出入りが多い印象を受けました。
まるごとひふみの岡田さん、ひふみ投信の韋珊珊(ウェイ・シャンシャン)さんの休学。ひふみワールドの八尾さんのIR異動などがあり、心配な部分もありました。
しかし、常に変化を前向きにとらえる企業からか、優秀な人材は入ってきます。
ひふみ投信アナリストの松本さん、大城さん、内藤さんなど若手アナリスト・ファンドマネージャーの台頭著しく、頼もしい運用チームになりつつあると感じた一年でもありました。
運用報告会最後の経営陣の挨拶の際に、白水専務が以下の様に挨拶していました。
「ひふみとうい商品は期限がなく、お客様にご投資いただいている商品となります。ということはですねえ、それを運用させていただく販売 させていただく私たちも、期限なく継続するような会社でなければいけないなという風に考えております。レオス・キャピタルワークスにはユニークで優秀な人材がたくさんおりますので、末長く続くようなですね会社経営も頑張ってまいりますので引き続きよろしくお願いいたします。」
ひふみアニュアルミーティング:白水さん挨拶より
投資信託とは、文字通り信じて託す運用です。インデックス運用には無いアクティブな人と人が信頼し合える運用をし続けることが結果受益者の利益に繋がるのではないかと考え今後も応援したいと思いました。
それではまた、ごつこさんでした。
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