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ヒトデ著『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』書評:夢と現実の狭間を深堀る!

ヒトデ著『1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE』書評:夢と現実の狭間を深堀る!
ごつこさん
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40歳になり、子育てや仕事に追われる生活を送る毎日。漠然と将来の不安を感じこのままで人生終わっても良いのかと思いそんな時に出会ったFIRE(ファイア)「Financial Independence, Retire Early」という考え。

経済的自立に憧れて、数々のFIREに関する書籍を読み漁り、ブログや投資を実践し4年間色々と行動してきた。子供たちの教育費ぐらいはなんとかなるくらいの資産を築くことはできたがFIREには程遠い現実。

世の中そんなに甘くなかった。経済的自立を手に入れることが出来る人間なんてほんの一握りなのだから。いつからかFIREという言葉を自分自身考えることもやめてしまった。

そんなときに出会った一冊の本。

ヒトデ著「1万回生きたネコが教えてくれた幸せなFIRE」

この小説を読んで筆者はネコの小鉄さんにそっと背中を押してくれた気分になった。

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書籍の概要

本書籍は、会社員生活が嫌で嫌で仕方がなかったヒトデさんが、趣味で始めたブログで5億円以上の収益を上げ、20代でFIRE(ファイア)「Financial Independence, Retire Early」を達成した自身の経験を基に、大好きなネコちゃんを主軸に置いた恐らく世界初の小説版FIRE本です。

あらすじ

物語は、大企業に勤める20代の智也が、日々上司に叱られ長時間残業を強いられる仕事に嫌気がさし、「FIRE」を夢見て生活していた。

ある日、寝坊をして会社を休んでしまった智也は、ふとした瞬間窓の外から優しい声がしたことに気づく。

そこには、小鉄という名の柔らかな銀色の毛並みを持つヒトのコトバをしゃべるネコがいた。

ネコは今まで1万回生きたという。

ネコは智也に今まで見てきたFIREを目指してきた飼い主の記憶を基に、FIREとは?幸せとは?ニンゲンの幸せとは?を教えていく物語。

内容はプロローグを含めて9つの章に分かれています。

  1. プロローグ:本当にFIREしたいと思っていますか?
  2. 第1章:投資だけではFIREできない
  3. 第2章:仕事を頑張らずにFIREする方法
  4. 第3章:最も安定するFIREの方法は結局「仕事」
  5. 第4章:そもそもFIREって本当に必要?
  6. 第5章:ニンゲンの幸せ
  7. エピローグ:1万回生きたネコ
  8. あとがき

見どころポイント3つ

筆者が考える物語の見どころは以下の3点と考えます。

  1. 投資だけではFIREは無理。FIRE失敗談からわかる真意とは?
  2. FIRE成功体験から、仕事との結びつきを考え自身に合ったFIRE像を模索できる
  3. FIREは幸せになるための手段でしかないことを教えてくれる

投資だけではFIREは無理。仕事とFIREの関係性とは?

登場人物の智也は、大企業に勤めており、それなりの給料をもらって生活している。

しかし、上司とのそりが合わず長時間労働を強いられる仕事が嫌で嫌でたまらない。

著者も、今の仕事が好きかと聞かれると、言葉を濁すかもしれませんし残業や休日出勤があり当番制で待機しないといけない職種のため仕事に費やす時間は恐らく一般的な時間よりも長いと思われる。

智也は、そんな仕事から逃げるために「FIRE」を目指し、毎月5万円、ボーナスで10万円S&P500のインデックスファンド投資に投資しているという。

しかしネコの小鉄は一蹴。「はっきり言って、投資だけでFIREすることはできませんよ

著者もその通りだと思う。

その理由の一つ目は、FIRE達成するまでの金額と期間である。

一般的にFIREの定義としてよく挙げられるのが、年間支出の25年分があればFIREしたとみなされるのだが、仮に智也みたいな単身世帯で年間240万円(20万円/月)生活費がかかるとしたら240万円×25年=6,000万円必要である。

これが複数世帯となると難易度はもっと上がる。生活費は世帯人数のルート倍で増えていくので、以下の様な表になる。

世帯人数倍率生活費1年生活費25年
1.00240万円6,000万円
1.14273.6万円6,840万円
1.73415.2万円1億380万円
2.00480万円1億2,000万円
世帯数別生活費一覧

我が家は4人家族かつ支出も表より多いのでFIRE達成がいかに狭き門か数字を見るとハッキリとわかる。

仮に智也が毎月5万円、ボーナスに10万円、年間80万円を投資し、年利9%と仮定し6,000万円貯まるまでの期間はというと、22年10か月かかる。

40代子育て世代の我が家がもしFIREするなら1億2,000万円目指し、年間120万円投資したら25年8か月かかる。

若い智也はそもそもそんなに時間かけたいと思っていないし、著者は25年後はもう老後。

これが悲しいかな現実である。

2つ目は、仮に投資でFIRE達成したとして、株式市場が大暴落した時に果たして減り続ける資産から取り崩すことが出来るのか。

これは相当難しいと著者も考える。

直近、2024年8月5日、日本市場が大暴落した日のX(旧Twitter)は阿鼻叫喚状態で、新NISA損切民まで現れた。

幸いにして著者は信用取引などのリスクも取っておらず、取り崩しフェーズではなかったので追加で買い増しできたのだが、老後になり取り崩し機関になった時でも同じ行動をとれるかと言えば全く自身はない。

当時の投資行動や心境については以下の記事で詳しく書いたので暇があれば見てもらいたい。

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ネコの小鉄は過去の投資でFIREを目指して失敗した飼い主の体験談を智也に伝え、次のステップにいざなうのである。

FIRE成功体験から、仕事との結びつきを考え自身に合ったFIRE像を模索できる

物語の中盤では、様々なFIRE成功談が紹介されています。ヒトデさんの周りには多くのFIRE達成者がいるため成功談があふれているででしょう。

  • 月5万円で生活するFAIRE民
  • トレードで数年で億の資産を築いたFIRE民
  • 圧倒的な仕事量と時間管理で資産を築いたFIRE民

特に興味を引くのは月5万円での生活である。おそらく支出をコントロールして生活費を落とすことが一番FIRE(ファイア)「Financial Independence, Retire Early」への近道だろうと考える。

この事例はまさに最速でFIRE(ファイア)「Financial Independence, Retire Early」することのできる。しかし、このライフスタイルが万人に受け入れられるかと言えば決してそうではない。

少しの仕事と仙人のように悟りを開き、足るを知る行動をとる生活が必要なわけで、並大抵の胆力では無しえない所業。

ライフワークバランスと昨今言われているが、激務をこなし収入を一気に上げるが、それとも生活の質は落とさず仕事と向き合うかは個人個人の考えによって変わってくるだろうから、参考になりそうな体験談があれば参考にすればいい。

FIREは幸せになるための手段でしかないことを教えてくれる

物語が進むにつれ次第に智也の気持ちや行動も変わってくることに注目したい。

ネコの小鉄は様々なFAIRE像を智也に見せ、気付きを与えることで、自主的に行動を促している感がある。

恐らく著者のヒトデさんも会社を辞めたくて始めたブログが軌道に乗り、毎月の収入が給料を超え、多くの収入が入ってきてFIREへのゴールがはっきりと見えてくる過程で葛藤があったのでしょう。

20代でFIREして仕事をしないということは残りの人生老後みたいなもので、気力も体力もある若者は大きな虚無感に襲われるのではないかと想像する。

小説に出てくる小鉄は、ヒトデさん自身を俯瞰してみているもう一人のヒトデさんを具現化したキャラクターなのではないか。

私が尊敬する、ひふみ投信を運用しているファンドマネージャーの藤野英人さんが以前、サイバーエージェントの藤田さんと9月に上場したタイミーの小川さんとの話をしてくれたことを思い出した。

2022年藤野さんから運用責任を引きついた佐々木さんの運用成績が思わしくなかった時の話です。

マーケットが悪かった面もありますがカリスマ的存在の藤野さんが運用に介入しなくなった事は予想以上にストレスがあったのでしょう。

そんな佐々木さんに対して、藤野さんは「投資哲学対談」で以下の様なエピソードを話てくれました。

Timeeの小川 嶺(おがわ りょう)さんという若手の凄腕経営者でリクルート創業者の江副浩正さん二世との呼び声が高い方が、Timeeの社員が不祥事を起こし心を病んでいるときに、小川さんのメンターであるがABEMAの藤田晋さん。藤田さんは「そうか。じゃあ僕のフクロウを渡そう」と言ったそうです。

藤田さんの肩にはいつもフクロウがいるそうで、いつも対話していたそうです。起業当時のフクロウはレベル1で、質問するといつもとんちんかんな答えが返ってきたそうです。今ではレベル999になっているそうです。

一方の藤野さんは、普段の仕事で見えている外見は着ぐるみだと思って行動しているそうです。夜家に帰って風呂に入る前に着ぐるみを脱いでハンガーにかけると中からは細マッチョの男性の姿になるそうです。そして着ぐるみと対話する。

なので、夜はすぐに眠りにつけるそうです。藤野さんの着ぐるみレベル1を佐々木さんに渡すと話していました。

多くの富裕層や成功者は得てして自身を俯瞰して見て行動や言動をコントロールするメタ思考を持っているのではないかと著者は考える。

もしかしたら、そこに自身の幸せを模索し成功させるヒントがあるのではないか。

だとしたら、FIREという非現実的な目標に向かう一つ一つの過程を常に客観視しつつ自身に一番合った幸福な人生を探すことは決して無駄ではないのではないかと思う。

橘玲さん著「幸福の資本論」によると、幸福の条件は以下の3つのインフラを挙げている。

  1. 自由:金融資産
  2. 自己実現:人的資本
  3. 共同体=絆:社会資本

経済的自由を手に入れるには文字通り現金や有価証券や不動産である。

人的資本を活用して「仕事」を通してのみマズローの欲求5段階説の最上位である自己実現が達成できる。しかし、この書籍ではサラリーマンの仕事では自己実現は達成できないという。

最後に共同体=絆は、家族や友人、コミュニティから得られる友情や愛情が幸福につながるという考えはだれもが否定できないところであろう。

いずれが欠けても幸福度は下がるのであればこの3つをバランスよく育てていく方が良いのではないかと思う。

ヒトデさんの小説にはそのヒントが隠されている。

最後に

筆者は、ヒトデさんの主催するブログのコミュニティ「ABCスペース」に所属している。あまり積極的に活動したり参加しているわけではないが、それなりにヒトデさんの人となりは承知している方だと思う。

最初、正直この小説が出ると聞いた時に、買おうかどうか迷った。

なぜなら、当の本人がFIREを達成すると息巻いておりながらまだ何も成し遂げていないという現実を直視しないといけなくなると思ったからだ。

しかし、ネコの小鉄さんに私自身が背中を押された気がするくらい優しい小説だなと思ったので手に取って読んで良かったと心から思う。

きっとヒトデさんは、どのように書いたら読者に伝わるのかを一生懸命に考えに考え抜いて書いたのであろう。そんな事を想いながら読ませてもらった。

しかし、世の中には年齢性別問わず尊敬できる方々がたくさんいるもんだ。私も見習いたい。

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資産形成ブロガー
資産形成歴4年目。総資産2,000万円達成した筆者が家族で楽しく資産形成している実践記事を配信中。「ブログを通じて社会に貢献」を当ブログの理念とし日々邁進。
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